2017年に(公財)図書館振興財団「平生29年度新興助成」を受け、三次市立図書館架蔵の往来本612点(平井右平氏寄贈、三次市重要文化財)から特に貴重な196点をデジタル化し、2018年1月にネット公開した。
同年2月に小泉氏が三次市で「往来物の世界─三次市往来本の価値と位置─」と題して講演を実施、その際、「三次本は多くの研究者には知られながらも、重要文化財の指定を受けて半世紀以上を経ても市民一般には十分に認識されていない…」という意見があり、小泉氏が「定期的な往来本のネット講座を始めてはどうか」また、「図書館職員にも学んで欲しい」と提言した。
これを受け、ネット講座のシステムや実施方法を検討、早くも同年9月に、全7回、定員15名のネット講座「おとなの寺子屋」を開講。
当時は、講師(小泉氏)と三次図書館会場をネットで結ぶ方法(Skype(スカイプ)使用)で、第1~6回はネット講座、第7回は小泉が三次を訪れ講演した。
2021年度より、図書館員の「ミニ解説」スタート*2021年度は主に18年度の往来本を解説。
22年度以降は講座テーマに即した解説に変更。
年度-回 | テーマ | 大見出し | 主な史料 |
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2018-1 【通算1回】 |
往来物の世界Ⅰ |
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武蔵国比企郡羽尾村赤沼家文書 天保3年「御集手本」「九々往来」 安政6年頃「御手本(ペリー来航記事)」 |
2018-2 【通算2回】 |
商売往来 |
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「商売往来」 異種商売往来(江戸-明治) 「佐久郡村尽」 |
2018-3 【通算3回】 |
寺子往来 |
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「〈堀氏〉寺子往来」(船由来記・寺子教訓書) 「通俗教訓往来」 安政6年「手習稽古所取極帳」 |
2018-4 【通算4回】 |
泰平往来 |
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「泰平往来」 *新年儀式の記述は、『江戸鹿子』か 『国花万葉記』の模倣 「御江戸年中往来」 「絵本風俗往来」 |
2018-5 【通算5回】 |
女実語教 ・女童子教 |
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「〈女誡絵入〉女実語教・〈女誡絵入〉女童子教」 「実語教」 「女実語教(異本)」 |
2018-6 【通算6回】 |
さざれ石 |
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「さざれ石」 「女筆春日野」 「女筆花鳥文素」 |
2018-7 【通算7回】 |
養育往来に学ぶ江戸の子育て ※公開講座 |
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「養育往来」 |
2019-1 【通算8回】 |
往来物の世界Ⅱ |
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「手習出精双六」 宝永4年「万用文書」 正徳3年「近道子宝」 安政5年「浜庇小児教種」 |
2019-2 【通算9回】 |
江戸の婚活 |
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「新板女出世鏡飛廻双六」 「絵本婚礼道しるべ」 「〈新板後篇〉嫁入談合柱」 「婚礼往来」 |
2019-3 【通算10回】 |
江戸の旅 |
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安永9年「往来手形之事」「旅行用心集」 「嘉陵紀行」「駅路往来」 「道中往来」「諸礼童子訓」 |
2019-4 【通算11回】 |
江戸の手習い |
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文久3年頃「佐久郡村尽」 文政8年「初学文章」 慶応2-3年「頂名手本」 「寺子制誨之式目」「御条目之写」 |
2019-5 【通算12回】 |
江戸のもてなし |
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安政6年「花定」/「遊女大学」 「我身のため(中篇)」/「女蒙求艶詞」 「売卜先生安楽伝授」 |
2019-6 【通算13回】 |
江戸の礼法 |
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「諸礼大学(食礼大学)」 「便用謡」 「家内用心集」 |
2019-7 【通算14回】 |
江戸の後継者育成 |
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「庄屋日記(庄屋往来)」 「親子茶呑咄」 |
2020年度は、新型コロナ感染拡大のため中止(受講が図書館会場に限られていたため、ネット講座のメリットを活かせず)、休止期間中に、在宅受講や、海外からの受講生も視野に入れ、参加費の決済方法などを検討。→
その結果、2021年度よりZOOMによる講座に切り替え、「図書館受講」10名のほか、新たに「ZOOM受講」30名を募集。
さらに、毎回、図書館員による「ミニ解説」も導入した*2021年度は主に18年度の往来本を解説。22年度以降は講座テーマに即した解説に変更。
21年度は、頼杏坪の往来本3種を全て取り上げ、それぞれ講座2回で詳しく解説した。
年度-回 | テーマ | 大見出し | 主な史料 |
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2021-1 【通算15回】 |
勧孝諭俗要言① |
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「孝経」 「勧孝諭俗要言」 「女孝経」 |
2021-2 【通算16回】 |
勧孝諭俗要言② |
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「勧孝諭俗要言」 「孝経賤が枝折」 「経典余師孝経」 「経典余師女孝経」 「女孝経講釈」 |
2021-3 【通算17回】 |
諭俗要言① |
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「諭俗要言」 「明心宝鑑」 |
2021-4 【通算18回】 |
諭俗要言② |
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「小学句読口義詳解」 「教民の詞」「陳襄教諭文」 「諭俗要言」 |
2021-5 【通算19回】 |
食禄箴① |
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「食禄箴」「食禄箴和解」 「春草堂詩鈔」 |
2021-6 【通算20回】 |
食禄箴② |
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「食禄箴和解」 「益軒十訓」 「春草堂詩鈔」 |
2022-1 【通算21回】 |
往来本から見た頼杏坪の人となり |
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「諭俗要言」「食録箴」 「勧孝諭俗要言」 「陳襄教諭文」「春草堂詩鈔」 |
2022-2 【通算22回】 |
「金のなる木」が教えた幸福の秘訣 |
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「金のなる木」 「善悪種蒔金生木」 |
2022-3 【通算23回】 |
九十九里の手習師匠は何を教えたか |
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「浜庇小児教種」 |
2022-4 【通算24回】 |
農家子弟に「一人前」を教えた手習師匠 |
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「下民小学(農家大学・民家学要)」 「家内用心集」 |
2022-5 【通算25回】 |
「本屋往来」と江戸時代の出版 |
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嘉永6年「本屋仲間定」 「〈御制札〉正徳御式目」 「本屋往来」 |
2022-6 【通算26回】 |
元禄期の社会問題をあぶり出した往来本 |
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「都鄙問答」 「摂河往来」 「人国記」 |
2023年度は、三次市近在の受講生の一部もZOOM受講になるなど、ZOOM受講は図書館内受講の4倍になった。
特に、海外研究者にも積極 的にPRを行ったこともあり、英国・オランダ・ポーランドなど海外受講生6人が参加し、2024年度も海外受講3名を含む25名が受講し、受講生 が徐々に増加してきた。
また、図書館員による「ミニ解説」も受講生から好評で、「おとなの寺子屋」の魅力の一つになっている。
年度-回 | テーマ | 大見出し | 主な史料 |
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2023-1 【通算27回】 |
往来本と徳川家康 |
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「家康太平状」「東照泰平状」 「心学教諭録(初~3編)」 |
2023-2 【通算28回】 |
江戸期女性と算数 |
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「九々往来」 「女九九乃声」 |
2023-3 【通算29回】 |
江戸の面白九九 |
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「拾芥抄」「心学人孝記」「日本永代蔵」 「商人夜話艸」「立身始末鑑」「渡世肝要記」 「花墨新古状揃万季蔵」「〈教訓狂歌〉尽孝記」 「〈家内安全〉富貴繁栄丸」「〈教訓〉心学図会」 |
2023-4 【通算30回】 |
忘れ去られた商道徳 |
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「温知政要」 「現銀大安売」 「続女大学」 「倹約斉家論」 |
2023-5 【通算31回】 |
厳島神社ゆかりの往来本 |
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「芸藩通志」「芸州厳島図会」 「撰集抄」「厳島風景」 「春草堂詩鈔」 |
2023-6 【通算32回】 |
殿中でござる!も教科書に |
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「吉良上野介首受取状」「義士夜討高名咄」 「大石状」 「正気歌諺解」「正気歌俗解」 |
2024-1 【通算33回】 |
新発見の最古本「鎌倉往来」 |
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天文17年「鎌倉往来」 康暦3年「鎌倉往来」 |
2024-2 【通算34回】 |
花火職人向けの異色の往来本 |
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「棚機火術控(七夕詩歌・御花火手本書扣)」 「扨化狐通人」 |
2024-3 【通算35回】 |
広島藩の領民教化用教科書 |
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「教訓道しるべ」「諭俗要言」 「六諭衍義大意」「和語六諭衍義」 |
2024-4 【通算36回】 |
地場産業に関する地方の往来本 |
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「塩浜実語教」 「随所往来(幼童教種草稿)」 「喜撰往来」「商売往来」 |
2024-5 【通算37回】 |
遊女向けの往来本と艶書 |
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「しげから橋立与惣太宛て書翰」ほか 「女房筆法」「女房進退」「女鏡秘伝書」 「女式目」「女書翰初学抄」「女用文忍草」 「〈新増〉女諸礼綾錦」「夕霧太夫のふみ」 「遊状案文(遊女案文)」「遊女文章大成」 |
2024-6 【通算38回】 |
外国文化と往来本 |
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安政6年頃「御手本(ペリー来航記事)」 「農家童子訓・海隅田舎草紙」 「女源氏教訓鑑」「倭文通錦字箋」 「商民職人往来(諸商買往来)」「西洋往来」 |